遺体を引き取る親族がいれば、死亡届も出すことになるだろう。もし、親族がいなかったり、引き取りを拒否されたら誰が出すのか。
「死亡届を出す義務を負う人は戸籍法に規定されており、同居の親族やそのほかの同居者、家主、地主または家屋もしくは土地の管理者が挙げられています。義務を負わないものの届け出できる人としては同居以外の親族や後見人、補佐人などです。これら死亡届を出す人が誰もいない場合、警察から地方自治体に対して死亡通知がされ、死亡届を出す必要がなくなります」
遺体の引き取りと相続は別問題
遺体や遺骨の引き取りを拒否すると、遺産相続も受けられなくなりそうに思える。
「遺体引き取りと相続とは別問題であり、拒否しても相続には影響しません」
自分が相続人となる場合、まずはほかに相続人がいるかどうか確認し、その全員を捜さねばならない。
「遺産分割協議は一部の相続人だけで行うことはできず、すべての相続人が参加する必要があります。行方不明の人がいる場合は捜し出すほか、裁判所に申し出て不在者財産管理人という代理人を選任してもらう、相続人が死亡したことにして除外するなどの方法を取る必要があります」
故人に財産があったとしても、相続すると負債も引き継ぐことになるため、借金の有無を確認することが重要になる。特に孤独死の場合、故人の滞納家賃や特殊清掃などの原状回復費が請求されることもある。
「金融機関からの借り入れは、信用情報を照会するとわかる。CICやJICC、全国銀行個人信用情報センターの3つに問い合わせると判明します。ただ、個人的な借入金などはわからない。もし負債の方が多い場合は相続放棄も可能です。その場合、原状回復費用は大家さんの負担になります」
相続するか、放棄するか。見極めは慎重にならざるを得ないが、どのくらいの猶予があるのだろう。
「相続放棄は、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。裁判所に申し出て認められれば期間が延長できることもあります」