それでは、日本の鉄道車両のうち、「電車」はどれほどの割合を占めているのでしょうか。具体的にデータを見てみましょう。
一般社団法人日本鉄道車両工業会がウェブサイトで公表しているデータ(2020年4月1日時点)によれば、日本の鉄道事業者に在籍する車両全体の約81%を「電車」が占めています。このうち「旅客電車」は約4.5万両であるのに対して、「貨物電車」は42両(電車全体の0.1%未満)しかないので、この円グラフが示す「電車」のほぼ100%が「旅客電車」であると言えます。
対象を旅客車(旅客を輸送する電車・気動車・客車)だけに限定すると、「電車」の割合は約95%となります。
つまり日本では、人を乗せて走る鉄道車両のほとんどが「電車」なのです。東京圏に限定すれば、ほぼすべてが「電車」であると言っても過言ではありません。だからこそ、「鉄道車両=電車」だと思う方がおられるのでしょう。
なお、これは日本の鉄道の大きな特徴でもあります。なぜならば、これほど「電車」の割合が高い国は、世界的にめずらしいからです。
【プロフィール】
川辺謙一(かわべ・けんいち)/交通技術ライター。1970年生まれ。東北大学工学部卒、東北大学大学院工学研究科修了。化学メーカーの工場・研究所勤務をへて独立。技術系出身の経歴と、絵や図を描く技能を生かし、高度化した技術を一般向けにわかりやすく翻訳・解説。著書多数。