田代尚機のチャイナ・リサーチ

香港株、10月末安値を底に急上昇中 社会管理体制の緩和で中国景気に好転期待

経済ワンパッケージ政策の中身を強化

 中国本土マスコミ(券商中国、12月5日)の報道などによれば、12月2日~4日にかけて、北京、天津、重慶、上海といった直轄市から、石家庄、杭州、昆明、南寧、ハルピン、鄭州、武漢、済南、南昌、杭州、深センなどの大都市において、行動制限が解除されている。PCR検査、健康コードによる厳しい社会管理が大幅に緩和されている。

 国内における移動に限れば今後、新型コロナウイルスは感冒と同等扱いに替わるのではないだろうか。

 ゼロコロナ政策による景気への悪影響を抑えるために、5月から経済ワンパッケージ政策が実施されており、個別産業では自動車産業、特に新エネルギー自動車に対する総合的な支援策などが実施されている。

 11月22日に行われた国務院常務会議では、この経済ワンパッケージ政策の実施状況を精査し、不充分な地方政府に対しては改めて厳格な実施を促したり、パッケージの中身を強化したりするといった方針を示している。

 金融政策では、不動産業界に対して業者側、消費者側双方を支援する政策が継続的に打ち出されており、12月5日から預金準備率が0.25%ポイント引き下げられている。

 ゼロコロナ政策の緩和が進むと同時に、これまで実施してきた経済政策が一度に効きはじめる可能性がある。香港ハンセン指数は歴史的な安値を形成した後だけに、その反動は大きなものになる可能性もありそうだ。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。

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