コロナ禍も一段落し、海外からの観光客も増えているが、今後、国内旅行のトレンドはどうなっていくのか──。10月以降、訪日観光客の爆買いぶりに驚いたというのは、都内の家電量販店に勤務する30代男性だ。
「高級家電をためらうことなく次々とお買い上げになる姿に、ただただびっくりしています。海外のかたにとって円安のいま、日本はバーゲンセール会場みたいな感覚なのかもしれません」
10月は日本の観光業界にとって変化を迎えた月といえる。歴史的な円安はもちろんのこと、日本政府観光局によると10月の訪日外国人旅行者数は前年同月比20倍以上の49万人を記録。
加えて国内向けに10月11日から、宿泊料が最大40%オフかつ平日3000円、休日1000円のクーポンがもらえる全国旅行支援が始まった。
「その結果、国内のホテル料金に変化が起きている」
そう指摘するのは、トラベルジャーナリストの橋賀秀紀さんだ。
「ホテルの価格が、全国旅行支援の開始前後で上がったところは少なくない。特に都内の高級ホテルは動きが速かった。利用者は海外の富裕層が多いため、1.5倍から2倍程度、宿泊料が上がっているところが多いようです」(橋賀さん)
海外からの観光需要増を目指す自治体もターゲットは海外の富裕層のようだ。富士山を有する山梨県の観光振興課は“訪日客が多く、個人所得も高い”アメリカのサンフランシスコで富裕層向けに観光PRを実施。今後はアジア諸国の富裕層にもアピールの幅を広げるという。
そのアジア諸国から訪日が期待されているのは、爆買いで有名な中国人観光客だ。しかし、中国は現在、「ゼロコロナ政策」を進めているため、訪日客はビジネス目的がメイン。中国の出国制限が解除されるまでコロナ禍以前の水準に戻らないとみられているが、それがいつ解除されるかは不明だ。