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塞ぎがちだった高齢母が“ふんわり若返る” 百貨店はシニア世代にとって特別な場所

百貨店閉店ラッシュは「寂しい」より「心細い」

 コロナ禍により、百貨店の新たな戦略として、2020年から三越伊勢丹のオンライン接客、2021年は大丸松坂屋のサブスクリプション「AnotherADdress」がサービス開始。特にサブスクは若者を中心に人気を得ている。

 オンラインショッピングも含め、若い世代がネットに移行するなら、いっそリアル店舗は母のようなシニア層をターゲットにし、すべてのブランドや演出も年齢層をグッと上げたらどうだろう。名案だと思ったが、母に感想を聞くと「そんなお婆ちゃんっぽい百貨店は嫌」なのだそうだ。なるほど、少し下の世代の流行も自然と見て、素敵なセンスやパワーを吸収できることも、大切なポイントなのだ。たしかに彼女は実際百貨店に行くと、ふんわり若返る。

 こんな感じだから、近年の百貨店閉店ラッシュは、私にとって、強い味方がどんどん減っていくようで「寂しい」というよりも「心細い」。まだまだその存在に元気をもらい、行くために気力体力をつけようとするシニアがいる。

 そして、シニアの元気は、それを支える私のような同居家族の平穏に直結する。ということで現在踏ん張っている百貨店よ、どうにか閉店ラッシュを乗り越えてほしい!

【プロフィール】
田中稲(たなか・いね)/1969年生まれ。昭和歌謡・ドラマ、アイドル、世代研究を中心に執筆している。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)、『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)がある。編集プロダクション・オフィステイクオー・著『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など執筆参加も多数。現在、CREA WEBで「勝手に再ブーム」を連載中。Twitterアカウントは@ine_tanaka

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