東京からの往路でステアリングを握ったのは「レヴォーグSTI Sport」。スバルが長い間、培ってきたステーションワゴンの歴史をしっかりと受け継いでいます。広くスクエアな荷室は使い勝手がよく実用性は申し分ありません。アウトドアの用具をしっかりと積み込み、4WDの軽快な走りとともに、海辺でも高原でも気兼ねなく出かけることができます。これまでも何度となくドライブしてきましたが、なによりも手頃感のあるボディサイズと、キビキビとした軽快感のあるドライブ感覚は、まさに日本の市場を第一に考えて作り込まれた結果だと、乗るたびに感心します。
SUVが全盛の昨今、ステーションワゴンは希少な存在となっています。ですが、レヴォーグをドライブすると使いやすさばかりでなく走りや燃費、さらに先進装備の充実度など、さまざまな観点で「ベストバランスではないか」と思えるほど、その実力の高さを再認識させられます。
そんな都市とアウトドアフィールドを結ぶエクスプレスとしての心地いい走りを味わいながら、今回は「里山ライフの住民たちを訪ねる」というミッションをこなします。コロナ禍ということもあるのでしょうが、最近は田舎暮らしなどに興味を持っている人が増えているといいます。そこで実際に里山ライフや東京との二拠点ライフを送っている人たちの日常と、そこにクルマはいかに関わってくるのかを、実際に聞くというプランです。
アウトドアライフとの親和性の高さを再認識
交流会の場で出迎えてくれたのは4名の鴨川移住者。長年、自動車業界で最先端の技術開発やF1の世界などに身を置き、現在は愛する車たちとのガレージライフを楽しむ藤井照久さん。人と自然が共に豊かになるような関係を築いていくというパーマカルチャーを推奨するオーストラリア出身のヘイミッシュ・マーフィーさん。都内で園芸業を経営した後、2014年からこの地で畑作りを始め、現在ではハーブやエディブルフラワーの生産と、レストランや一般の人たちに向けたシェアファームなどを運営している井上隆太郎さん。そして一級建築士として都会で仕事をこなしながら、この地に惚れ、電力会社に頼らず電力を自給自足するオフグリッド小屋を自ら建て、二拠点ライフを送る神向寺信二さんです。
それぞれに生活スタイルは少しずつ違ってはいましたが「自然の恵みを活かし、必要なものはできる限り自分たちで創り出す」「お金で解決することをよしとせず、里山暮らしを楽しむ」という点では共通していました。
一方で、地域コミュニティとの付き合い方や、東京をはじめとした周辺の大都市との関わり合いなど、理想論だけでは語れない難しさや厳しさがあるともいいます。このことは「自宅を出発し、無事に目的地に到着する」という当たり前のドライブが、多くの先端技術に支えられながらおこなわれる現実にも似ていると感じました。そして、都市や人とのつながりを保ちながらの里山暮らしで、スバル車はどのような役割を果たすことができるのか。復路でステアリングを握ったレガシィ・アウトバックの、ゆったりとした乗り心地の中で思いを巡らせることになりました。