中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「汚部屋だと思われたくない…」家に工事業者がやって来て感じる夫婦の価値観の小さなズレ

筆者がイノシシ肉を調理する写真。「私はガスコンロの焦げた部分が写っていても、全然気にならないのだけど」(中川氏)

筆者がイノシシ肉を調理する写真。「私はガスコンロの焦げた部分が写っていても、全然気にならないのだけど」(中川氏)

生活に大きくかかわる価値観が共通しているかどうか

 こう書くと、妻は徹底的にきれい好きな性格なのかと思われるかもしれませんが、全然違います。私はかなり片づけがヘタクソですし、汚い部屋やデスクであっても気にならない。彼女も同じなのです。

 ただ、一点の違いは「夫婦以外の他人にその様を見られることを嫌がる」点です。私は自炊した料理の写真を撮影して、ツイッターに公開することがあるのですが、その際、彼女はコゲた部分があるガスコンロや、汚いまな板が写っていないか、非常に気にします。そして、「もういいから、私が撮る!」とやる。汚い我が家の備品を見せたくないのです。

 元々私はキラキラ系や意識高い系で売っていないので、汚い背景や安っぽい食器などを写した方が自分らしいとも思うのですが、彼女は「貧乏くさいのは分かるけど、せめて少しはまともな写真にしてほしい」と考えます。

 まぁ、100%考え方が合うことなどないのですが、一緒に暮らしていれば、多少の価値観のズレは見えてくるもの。たとえば夫婦で、子供を私立に入れたいか、公立に入れたいかという教育方針の大きな違いがあれば、こんな「業者を家に入れるかどうか」どころではない衝突を生み出すことでしょう。こうなると、もはや「他人にどこまで配慮するか」どころではなく、「思想」「生き方」の問題。

 他にもたとえば、東北出身者と九州出身者が東京で家庭を持った場合、年末年始、どちらへ帰省するかでモメることもあるでしょう。実家も交えた話なのだから、正解は個々の家庭によって異なりますし、解決が一筋縄ではいかないケースもある。ただ、我々のように「他人への配慮の度合いが少し違う」程度であれば、あまり問題視しないでいいのです。

 むしろ「部屋が汚いのは構わない」「行列が嫌い」「ブランド物は不要」「皿の種類は『大』『中』『中の小』『小』のみでいい」といった、生活に大きくかかわる価値観は共通している。もしも妻が、年末ジャンボ宝くじ発売初日に有楽町の宝くじ売り場で5時間待ちをする趣味を持っていたり、おしゃれな食器一式を何セットも揃えるのが好きな人だったら、大変でした。互いに苦痛な配慮をし合い、そして衝突していたことでしょう。

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