老後資産を確保するにはどうすればよいか。定年後世代は銀行口座の見直しも考えたい。近年はメガバンクを中心に、長期間利用されていなかったり、残高が少なかったりする口座に、口座維持手数料を課す動きが広がっている。ファイナンシャルプランナーの柘植輝氏が語る。
「それだけでなく、2018年に施行された休眠預金等活用法によって、2009年以降、10年間取引がない預金などは、いわゆる『休眠口座』扱いになりました。そのお金は公益活動の資金として使われることになります」
休眠口座の資産は預金者が取引を再開すれば引き出せる。しかし、当然ながら存在を忘れていたら資金は動かせない。
こんなデータがある。ゆうちょ銀行では、2007年の郵政民営化以前の定額貯金は、満期後20年2か月で貯金者の権利が消えることになっている。
2022年12月9日付の朝日新聞によれば、〈ここ数年で消滅額は急増し、昨年度は計11.7万件で457億円に達した〉という。多数の口座を持っていると、貯めていた預貯金の存在を忘れ、失ってしまうリスクがあるのだ。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝氏が語る。
「銀行口座はメインとサブの2つくらいに集約したほうがいいでしょう。口座数を絞ることで資産管理がしやすくなります。また、自分が亡くなった際、相続時に家族にかかる手間も軽減されます」
銀行口座と同様、クレジットカードの集約も進めたい。
「何枚も持っていればその分、年会費がかかりますし、紛失や盗難のリスクも高まります。それぞれポイントを貯めている人もいますが、ポイントというのはまとまった単位にならないと使えないので集約したほうが得です」(柘植氏)
1枚は海外旅行用にVISAかマスター、1枚は国内用でJCBにするなど、2枚程度にしておくのが無難だという。