物価高が止まる気配がない。一時1ドル=150円を突破した円安は徐々に落ち着きを取り戻しているが、それでも2022年初旬の水準までの回復は遠そうだ。加えて、30年も続く低賃金に、さらなる増税も検討されている。こんな“異常な不景気”で、「老後資金2000万円」をどうやってつくるのか。
だが、打つ手がまったくないわけではない。日本の生命保険の世帯加入率は約9割にのぼる。せっかく加入しているのだから、保険をもっとうまく使わない手はない。保険は使い方次第で、資産運用にも大いに役立ってくれるのだ。
まず目を向けるべきは、貯蓄性のある「積立型保険」だ。保険は、一定期間を保障する定期の掛け捨て型と、一生涯を保障する終身の積み立て型の、大きく2つに分かれる。
掛け捨ての定期保険とは違い、終身保険は何才で亡くなっても死亡保険金が受け取れるほか、途中で解約しても一定の解約返戻金を受け取ることができる。税理士で公認会計士の木下勇人さんが言う。
「終身保険は、言ってみれば自分のお金を保険会社が運用してくれているようなもの。払い込んだ保険料が積み上がっていくことで、亡くなっても、解約しても、まとまったお金を受け取ることができるのです」
貯蓄の運用も1つの保険でできる
ただ、この超低金利下の日本では、バブル期ほどの大きなリターンは期待できない。いまの日本で保険を使った資産運用を狙うなら、「外貨建て」の終身保険を活用する選択肢があるだろう。
その名の通り、日本円で払った保険料を米ドルなどの外貨で運用する商品で、死亡保険金も解約返戻金も外貨で支払われる。現在、日本では金利がほぼゼロだが、アメリカをはじめ海外では、現在見込める金利は4%ほど。銀行に預けておくよりもずっと有利だ。
外国株や投資信託、FXなどの運用方法と違うのは、やはり“貯蓄性”があること。外貨建て終身保険なら、商品によっては、加入時に「目標値」を設定しておくことができる。