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扶養内で働くときの4つの「年収の壁」 働く時間を増やすかどうかの判断基準を社労士・FPが解説

夫婦で考えるべき家の作業との兼ね合い

 ここまでの内容を理解できたとしても、数字や制度の解説では乗り越えられない壁が存在する場合があります。それは、配偶者の理解が得られるかどうかです。

「家のことに影響が出るならそんなに働かないでほしい」「働いてほしいって頼んでないけど」などと、配偶者が家事や育児、介護などへの協力姿勢を見せない場合、当然ながら労働時間を増やせば負担は増えることとなります。

 昭和の高度経済成長期であれば、男性が会社で長い時間働くために、妻は専業主婦という構図は通用しました。残業代が多く、ボーナス、昇給、退職金、年金への期待も持てましたし、今より寿命が短かったという背景もあります。しかし、平成が終わって、令和の今はどうでしょう。家事などを配偶者のみに求める専業主婦モデルは、ごく一部の超高収入の人を除けば、もう通用しなくなっているのではないでしょうか。

 物価は上がり、長い老後が不安な中、平凡な収入であるにもかかわらず、昭和的な考え方で仕事をセーブしようと考えるのは、目先のみならず、中長期的な家計収支の面で圧倒的に不利になります。

「扶養の範囲」の壁を考える場合は、働き方だけでなく、家計や家事の分担についても、夫婦でしっかり話し合っておく必要があるでしょう。(了)

【プロフィール】
川部紀子(かわべ・のりこ)/FP・社労士事務所 川部商店 代表。1973年北海道占冠村生まれ。生命保険会社で勤務したのち30歳で起業。大学の非常勤講師として講義を担当するほか、個別相談、セミナー・講演講師、各種執筆、テレビ・ラジオへの出演も多数。近著に『得する会社員 損する会社員 手取りを活かすお金の超基本』(中央公論新社)がある。

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