膨大な過去のデータから将来を予測する「AI(人工知能)」はあらゆる分野への応用が広がり、株式投資にも大いに活用されている。
別掲表は、金融とITを組み合わせたフィンテック企業のDeepScore社が独自開発した株価予測AIで、2023年1月末までの「有名企業120社」の株価を予測したものだ。
過去の値動きから80%以上の確率で収まると予想される「安値」と「高値」、その「中間値」を算出。現在の株価と中間値を比べて、株価の騰落率の「方向性」も示している。
コロナ禍にウクライナ危機が重なり、世界的な原材料高などが多くの日本企業にのしかかっているが、そんな苦境下でも2023年に上昇が期待できる銘柄がある。AIが挙げるのが、サッポロHDやキリンHDなど「ビール」各社だ。
DeepScore企業調査部長の藤本誠之氏はこう見る。
「今後の株価上昇においてのキーワードは、インフレ下でも値上げできる強いブランド力を持つ『値上げ力』です。ビール各社はこれまでのような価格競争ではなく、価格転嫁を進めて収益を安定化させる方向に舵を切っているため、上昇期待が高まります。アサヒグループHDも1月末までは下落予想となっていますが、その先まで見通すと長期的な上昇期待が持てる」
製薬各社にも株価上昇が予想されているが、「とりわけ大塚HDはポカリスエットなど誰もが知るブランドを持っているため、値上げ力が高い」(藤本氏、以下同)という。
現在、エネルギー供給が日本での大きな課題となっているが、東京瓦斯など「電力」「ガス」各社は軒並み株価上昇が見込まれている。
「電力やガスの値段は国が認可するもので、自社の“自力”とは言い難いものの、値上げ力を備えていると言えるでしょう」