がん給付金が下りない主なケース
【1】境界悪性腫瘍
良性腫瘍と悪性腫瘍の中間に位置するのが「境界悪性腫瘍」。悪性度の低い腫瘍で、手術だけで完治する場合が多く、生存率も高いといわれている。がん保険では、がんと診断されることがポイントなので、境界悪性腫瘍のようにはっきりがんといえない場合は、今回のオバ記者のように保障されない場合が多い。
【2】上皮内がん
上皮内がんは、腫瘍細胞が粘膜の上層部の上皮内にとどまっている状態のがん(上皮の下の基底膜を越えて浸潤してしまうと悪性がんになる)。がんではあるが、切除手術などで完治する可能性が高く、転移の可能性も低いといわれている。そのため、がん保険の種類によって保障が適用されないこともある。
【3】早期再発がんの場合
がん保険の中には、がん診断給付金が複数回出るタイプがある。がんが再発したときにありがたい保険だが、保険によっては前回の支払いから次の給付金が出るまで年単位で制限しているものも。早期再発の場合、給付金がもらえなくなるので要注意。
用心すべき、保険金や給付金が受け取れないケース
●保険の失効
保険料を期限内に支払わないと契約の効力がなくなる。これを失効といい、最悪の場合、保険金や給付金が受け取れなくなってしまうため気をつけたい。この場合は、復活の手続きをすれば元の契約に戻せるが、再度健康状態についての審査や告知が必要となる。支払い忘れや、自動引き落としの通帳残高には充分注意を。
●免責事由に該当した場合
免責事由とは、保険会社が保険金や給付金の支払いを免れる理由のこと。たとえば、自殺による保険金の支払いは各社が1~3年の免責期間を設けているので、免責期間内の自殺の場合、保険金は支払われない。また、がん保険の場合は、加入後から90日間の免責期間があり、その間にがんと診断されても補償されない。
●告知義務違反や詐欺などの場合
生命保険の加入時には、自分自身の健康状態を告知する義務がある。現在かかっている病気はもちろん、過去にかかった病気も正確に伝えなければならない。これを怠ったり、ウソの申告をしたりすると告知義務違反とみなされ、保険の契約を解除されるだけでなく、悪質な場合は詐欺罪に問われることも。
(第2回につづく)
【プロフィール】
オバ記者こと野原広子さん/1957年、茨城県生まれ。ダイエットなどの体当たり取材が人気の、女性セブン名物ライター。65才。
保険の営業マンS氏/外資系生命保険会社の現役営業マンで、オバ記者とは旧知の仲。保険の奥深さに魅せられて保険業界へ。日々情報収集を怠らない。41才。
取材・文/北武司
※女性セブン2023年1月19・26日号