女性セブンの名物ライター「オバ記者」こと野原広子さん(65才)が昨年10月、「卵巣がんの疑い」と診断され、患部の摘出手術を受けた。病名は「境界悪性腫瘍」。良性腫瘍と悪性腫瘍の中間に位置づけられる「境界悪性腫瘍」は、医学的にはがんの部類に入るが、保険業界の視点からは「がんではない」と判断され、がんに対する保障対象外となる。
加入していたがん保険で支払われる金額を病床で調べていた野原さんは、想定よりかなり低い額しか受け取れないことにがっかりするとともに、生命保険の大切さや複雑さ、難しさを感じた。「改めて保険について勉強したい」と思った野原さんは、旧知の外資系生命保険会社の営業マンS氏(41才)と連絡を取り、さまざまな疑問をぶつけた。【全4回の第2回。第1回から読む】
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野原:私はいままで長年払ってきたんだけど、保険に入るベストなタイミングは実は「人間ドックや病院を受診する4か月くらい前がいい」って聞いたことがあるんですけど、これ本当?
S氏:がんの場合、〈90日間免責〉【*】といって、契約してお金を払って、健康状態を告知してから90日経過しないと、保障が始まらないからなんですよ。
【*90日免責は、がん保険に限ったものになる】
野原:90日ってことは3か月。ちょっと体の調子がおかしいなと思ったら、まず先に保険に入っておいて、90日以上経過した4か月目くらいに病院に行くようにするのが理想的なわけね。
S氏:理屈としてはそうかもしれませんが、病は待ってくれませんので。
野原:でも一方で、私のように1年も2年も放っておく人がいるのを考えたら、節目節目で4か月をめどに保険加入して、頃合いかなと思ったら診察を受ける作戦もあるんじゃない?
S氏:“頃合い”って、そりゃまたすごい発想ですね(笑い)。
野原:事前に診察を受け、がんの疑いを隠して保険加入すれば告知義務違反。そうならないためにも、よーく自分の体を観察して2年に1回、人間ドックの4か月前に保険に加入し、問題なしならすぐ抜ける手もあるかもしれない。私のようにタラタラ払っているのもどうかと思う。
S氏:いやいや野原さん、保険で儲けるのは難しいです! 結果として儲かったというのはあるかもしれませんが。
野原:私の周りでは何人かいるのよね、保険で儲かった人。でも、保険会社にお金を払うなら、そのぶん貯蓄しておいて備える方法もあるのかな。
S氏:その手はありだと思います。ただ、病気はいつなるかわからないので、貯蓄がいくらあるかを考える必要があります。
野原:私は貯金できないタイプ。目の前にお金があると、ついつい使いたくなる。やっぱり保険に頼るのがいいのかな。