昨年の12月30日、大手銀行5行は2023年1月の固定型の住宅ローン金利を引き上げると発表。地銀も住宅ローンの固定金利の引き上げを発表している。今後、金利上昇していく場合、住宅ローンはどうなっていくのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第26回は、「住宅ローンの考え方」について。
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金利の動向は、資産運用に大きな影響を及ぼします。日本では長期間にわたって超低金利状態が続いているので、あまり意識することはありませんが、世界の金融関係者は、つねに金利を睨みながら投資先を物色しているのです。
2022年は、世界中で金利が引き上げられ株式市場にネガティブインパクトを与えました。日本では引き続きマイナス金利政策が継続されていますので、あまり深刻に捉えている人は少ないかもしれませんね。ただ、じわりじわりわたしたちの生活にも金利上昇の影がしのびよっているのです。
メガバンクを筆頭に固定金利を続々引き上げ
昨年の12月30日、大手銀行5行は、2023年1月の固定型の住宅ローン金利を引き上げると発表しました。10年固定基準金利は、9年半ぶりの高い水準に。また、地銀でも続々、住宅ローンの固定金利引き上げを発表しています。
各銀行が住宅ローンの金利を引き上げている理由は、日銀が発表した金融政策の修正にあります。長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度まで引き上げたことにより、長期金利が上昇し、その影響を受ける住宅ローンの固定金利を引き上げたというわけです。
固定金利は上がるのに変動金利は上がらない理由
2022年3月25日に発表された国土交通省の調査によると、2020年度の住宅ローン新規貸出額のうち、なんと70.0%が変動金利ということでした。となれば、変動金利が上昇すると、日本人の多くの人が困惑することになります。ところが、今のところ変動金利が上昇したというニュースは聞こえてきません。これはいったいどういうしくみなのでしょう?
じつは住宅ローンの固定金利と変動金利は、連動する金利が違っています。固定金利は、長期金利に連動しますので、日銀が長期金利の代表とされる10年債の金利の上限を引き上げたことによって、固定金利も上昇しました。
一方、変動金利は、短期金利と連動しています。その短期金利は、日銀の政策金利に連動します。冒頭でも述べたとおり、日本の政策金利はマイナスのまま据え置いていますので、変動金利は上昇していないのです。