“異常な状態”がいつまで続くか?
一般的に固定金利(全期間固定金利)と変動金利では、変動金利のほうが金利が低く設定されます。なぜなら固定金利には、長期にわたる金利の変動リスクに対する保険料が加算されるからです。
今現在、住宅ローンの固定金利は、10年で1%、10年以上の超長期で1~2%程度、一方の変動金利は、0.5%以下ですが、金利差が広がれば、ますます変動金利が魅力的に見えます。「住宅ローンを組む人の大半が、変動金利を選んでいます」と言われれば、そのしくみをよく理解していなくても、変動金利をチョイスしてしまいそうです。
変動金利はここ20年ほどほとんど変わっていません。変動金利を選ぶ人が多いのもそのためですが、今後も変わらないかというと、それは誰にも分かりません。ただ、政策金利がマイナスというのは、景気を活性化させるための特殊な手段であって、異常な状態である以上、いつかは正常な政策金利へと戻す必要があります。今までずっとマイナス金利のままであったのは、日本が長くデフレ状態で低成長だったためで、今後、物価が上昇し、インフレが進行すれば、政策金利を引き上げる可能性は大いにあります。
住宅ローンの返済は長期にわたりますので、その間、ずっと変わらないと考えるほうがむしろ不自然に思います。となれば、今後住宅ローンを組む際には、どっちの金利を選ぶべきでしょう? さらには、現状すでに変動金利でローンを組んでいる人はどうすれば? これらについては、次回解説することにします。
《今回のまとめ》
・住宅ローンの固定金利と変動金利の差が拡大中
・金利差の違いは、金利決定のしくみのちがい
【プロフィール】
藤川里絵(ふじかわ・りえ)/個人投資家・株式投資講師・CFPファイナンシャルプランナー。2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため活動し、DMMオンラインサロン「藤川里絵の楽しい投資生活」を主宰。本稿の関連動画がYouTubeにて公開中。