焼き鳥や焼きトンを注文する時、「味付けは塩で」と頼む人もいるのではないだろうか。タレより塩で頼んだほうが、なんだか「通」っぽく見える風潮もある。だが実際には、店ごとに、また部位により、塩かタレかでおススメの違いはあるもの。昨今「塩こそ至高」的な頼み方の風潮が強まっているように思えるが、居酒屋通い歴29年のネットニュース編集者・中川淳一郎氏(49)はこうした「塩偏重」に異議を呈する。
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焼き鳥や焼きトンで「塩」を頼むとなんとなく「通」っぽく見える風潮があるじゃないですか。「タレ」を頼むと「味オンチ」扱いされるという。しかし、焼き鳥・焼トン店で指定がない場合、塩かタレかどちらかで勝手に出てきます。これは、店の人がプロの感覚でどちらがよりおいしいかを判断して出しているわけですね。
私自身、「豚バラ」や「ネギ間」「豚バラアスパラ巻き」「ベーコンエノキ巻き」といったメニューについては「塩」の方が合うと思っています。しかしカリカリの鶏皮やレバー、ツクネ、大腸(シロ)などについては「タレ」の方が合うと思います。
焼き鳥店に行くと、「焼き鳥奉行」みたいな人が、とかく全体の注文を仕切ることがあります。こうした人々はすべてを「塩」にしてしまう。いや、シロなんて、タレ一択でしょうよ……なんて異論は一切許さず、すべてを塩で頼み、「やっぱ焼き鳥は塩だなぁ」などと満面の笑みを浮かべる。
コレ、本当にやめてほしいんですよ。タレの方が明らかにおいしい部位ってのがあるんです。もちろん「塩」の方がおいしい部位があるのは分かりますが、「タレ」にすると単なる味オンチであるかのような扱いになる令和の風潮、これなんとかなりませんかね?