子供夫婦と同居している高齢者が申請することは可能か
持ち家や車は資産とみなされるが、家をすぐに売却できることはまれなので、持ち家のまま生活保護をスタートしてから、福祉事務所と相談する形になる。
自宅の立地や持病などの関係で公共交通機関が使えないなどの事情があれば、車も手放す必要はない。生命保険は、貯蓄性のあるものは原則解約する必要があるが、掛け捨て型なら、入っていても申請できる可能性がある。
「申請する地域に住民票がない」「家族と暮らしている」といった場合でも、検討の余地はある。
「生活保護は世帯単位で受けますが、生活保護における『世帯』とは、夫婦関係や親子関係ではなく“居住の実態”、つまり、一緒に暮らしているかどうかがポイントです。例えば、夫との離婚を考えている妻や、虐待してくる親元からの独立を考えている未成年などは、一度家を出て、『世帯』を分けた方が申請がスムーズになります。離婚したり、家族と縁を切る必要はなく、自分と家族の“位置情報(生活実態)”を分けることが重要です」
反対に、子供夫婦と同居している高齢者が生活保護を受けたい場合、書類上で「世帯分離」をして申請することもできるが、あまりおすすめはできない。
「同居している家族が申請者を扶養できないときに、こうした方法で生活保護を申請することは、法律上は可能です。しかし、一緒に暮らしている人への援助関係がないことを証明するのは非常に難しい。それなら、少し離れたところにアパートを借りて“位置情報”を分けた方が、よほど簡単です」
※女性セブン2023年2月2日号