家計

必要ないのに高枝切りバサミを買う人も… 昭和世代を惹きつける「テレビ通販」の魅力と落とし穴

「購入の申し込みをする前に、深呼吸を」(イメージ)

「購入の申し込みをする前に、深呼吸を」(イメージ)

「ジャパネットたかた」社長の至言

 リアクションは明らかにオオゲサなのになぜか惹かれるのは、私と母がデジタル関係で出遅れてしまった情報弱者だからか、と思いきや、テレビショッピングの売り上げは今も堅調なのだとか。若者の視聴率は少ないが、50代以上の女性に特に人気が高く、コロナ自粛もニーズが増えるきっかけになったという。自宅にいながら映像を見て「使用感」を疑似体験するような感覚になれるのは大きいだろう。

 また、アップ日は2020年9月と少し前にはなるが、NewsPicksの番組『HORIE ONE』で、堀江貴文氏がジャパネットホールディングス社長の高田旭人氏と対談。これがとても興味深かった。テーマはズバリ「テレビ通販はオワコンか?」。ここで、2022年3月に独自のBS放送局を開設するほどテレビショッピングに注力するジャパネットたかたについて、「YouTubeじゃだめなんですか?」と堀江氏が質問。それに対して高田氏は、「ここまでYouTube が広がっても、見ない方は見ないので」「合理的じゃないと思われることも多いと思うんですけど、意外と合理的じゃない方が魅力的だったりする」などと答えている(YouTube公式チャンネルで一部公開)。

 なるほど、まだまだテレビのニーズは高いのかもしれない。なんといっても、日本の人口の約3割が65歳以上のテレビ世代だ。

 ちなみに、ジャパネットたかたを傘下に抱えるジャパネットホールディングスは9年連続増収。昨年4月に公表された同社の2021年12月期連結売上高は、前期比4.2%増の2506億円で過去最高を更新している。

「生活に必要ないモノ」も買ってしまいがち

 欲しいモノ(欲しかったモノ)がテレビショッピングで紹介され、生活を豊かにするのも嬉しいことだ。私の場合、羽毛布団はテレビ通販で買ってよかったと思うし、そういった素敵な出会いがあるのも確か。

 しかし同時に、当たり前ながらリスクや心配も多い。特に欲しいと思っていなかったモノでも、短時間でおいしい情報をガーッと詰め込んで言われるのだから、生活に必要ないモノも買ってしまいがちだ。

「検索する」YouTubeやインターネット通販と、「いろんな情報がふと入ってくる」テレビの違うのはそこだ。さらに「今だけ半額!」などと言われたら「エエッ」と腰を浮かし電話を持ってしまう。知り合いの親御さんは、まったく使いどころがないのに高枝を切るハサミを購入したという。私自身も、置く場所がないのにでっかい健康器具の購入寸前までいった。まさにテレビショッピングの魔力とは言えまいか……。

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