先の新発田なども、森下から欧州の食器セットをプレゼントされたことがあると話したが、闇将軍へのそれは比べ物にならない高級品だったのだろう。森下本人が続きを明かした。
「実は新潟の田中邸はうちのゴルフ場(上越国際CC)と近かったので、だいたい家もわかっていました。そこでトラックに積んで田中邸に運んだところ、やっと受け取ってもらえました。それどころか、今度はその礼と言って、大きな絵を持たされた。弁慶を描いたような畳一畳くらいある大きな日本画で、あとで調べると2億円くらいする立派な絵でした。前に目白の納戸で何度か高級絵画を見ていたけど、こういう絵も趣味なんだと感心しました」
さすがに2億円は大袈裟な気もするが、世間から見れば、この手の絵画や美術品はバブル時代の危うい産物といえる。その泡のような景気が消し飛ぶと、日本社会は騒然とした。
【プロフィール】
森功(もり・いさお)/ノンフィクション作家。1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ──「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。近著に『菅義偉の正体』『墜落「官邸一強支配」はなぜ崩れたのか』など。最新刊は『バブルの王様 森下安道 日本を操った地下金融』。