世界標準になっている「標準軌」
まず結論から言います。「軌間」に種類があるのは、世界各国の鉄道がそれぞれ異なる「軌間」を採用した結果です。下の図は、現在世界の鉄道で使われている「軌間」の種類を示しています。
「軌間」の数値が中途半端なのは、ヤード・ポンド法における長さの単位(フィート・インチ)で決められた数値を「mm(ミリメートル)」に変換した結果です。たとえば日本のJR在来線で使われている1,067mmは、3フィート6インチを「mm」単位に変換した数値です。
スペインやポルトガルを除くヨーロッパの多くの国の鉄道では、「軌間」が1,435mmにほぼ統一されています。この1,435mmという「軌間」は、「標準軌」と呼ばれています。ヨーロッパやアメリカなどの世界の多くの鉄道で使われており、事実上の世界標準となっているからです。
また、この「標準軌」よりも狭い「軌間」は「狭軌」、広い期間は「広軌」と呼ばれます。日本の鉄道では、新幹線や一部の民鉄で「標準軌」が採用されており、それ以外の鉄道では1,372mmや1,067mm、762mmといった「狭軌」が採用されています。いっぽう、インドやスペイン、ロシアなどの鉄道では、日本では採用されていない「広軌」が採用されています。
2種類の「軌間」に対応した三線軌
「軌間」が異なる鉄道では、基本的に列車の直通運転ができません。ただし、線路にレールを3本敷くことで直通運転を可能にした例があります。これは「三線軌」と呼ばれます。現在日本では、箱根登山鉄道の入生田?箱根湯本間や山形・秋田新幹線の一部区間などに「三線軌」が存在し、標準軌の車両と狭軌の車両の両方が走行できるようになっています。
なお、「三線軌」には弱点があります。おもな弱点としては、線路の構造が複雑になるのでメンテナンスに手間がかかること、降雪時にレールの隙間に雪が詰まり、除雪作業が難しくなることなどが挙げられます。