毎月1万円の支払いで高額のものを購入し、全額支払い終わったと思ったら、“リース契約のつもりだった”と言われてしまった──。そんな理不尽なことが起きた場合、返金を求めることはできるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が、実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
夫婦で小さな設計事務所を営んでいます。2年前に知人から「業務用コピー機を月1万円の2年払い(合計24万円)で売ってあげる」と言われました。業者から購入すると高額だったので知人から購入することにし、先日2年間の支払いが終わりました。
ところが「リース契約のつもりだった。買うならあと2年間支払いを続けて」と言われたので、コピー機は返却しました。知人だったので契約書を交わしていませんが、すでに支払った24万円を返してもらうことはできますか。(神奈川県・53才・自営業)
【回答】
あなたがたは知人から「売ってあげる」と言われたということですが、契約書もないので、知人が否定すれば立証するのは難しいと思います。
一方で、知人もリースすると言ったことの証明はできないのでしょう。とはいえ、コピー機の引き渡しを受け、2年間にわたり月1万円を支払う約束をしたことは事実ですから、何らかの契約が成立したことは間違いありません。どのような契約が成立したかは、契約条件や当事者の立場など客観的に判断されることになります。
あなたの言うように売買契約だとすると、割賦の売買をしたことになりますが、2年間もの長期の割賦売買は、その間の代金の徴収などの債権管理ができる専門の業者以外少ないように思います。
また買主が資金繰りの都合で分割支払いを求める場合はともかく、売主の方から売買代金の2年間の割賦支払いの申し出をしたというのも不自然です。金額も売買代金額としては通常価格に比べて低額だったようです。
そうすると2年たったらあなたがたのものになるという確約を証明できない限り、知人との契約は、割賦販売というよりリース(正確にはレンタル)契約と解されるように思います。ですからいったん知人に返したコピー機を自分のものだから戻せとは要求できません。