恋人からDVやモラハラを受けたら、心の傷はなかなか癒えることがない。無理に耐え続けると精神に不調をきたし、生活もままならなくなってしまうこともある。そんな時に必要なのは、一時的にでもいいから「逃げる」ことではないか。逃げるためにはお金の面も含めて大きな労力が必要となるが、それによって事態が大きく好転することもある。
現在30代のフリーライターの女性・Aさんは、10年ほど前に30代の契約社員男性と交際していたが、当時の彼女はあまり仕事がなく、月収は15万円ほどだった。男性の月収は18万円ほどで、2人で一緒に住んだ方が家賃の面でも得になると考え同棲を開始。
だが、毎日顔を合わせる生活が始まると、それまで優しかった男性の態度に変化が訪れた。「お前の料理はまずい」「なんでそんなによく寝るんだ」「オレが遅くまで働いて帰ってきたんだからもう少し労われ」などと言われるようになり、手や足が出ることもあったという。Aさんが振り返る。
「この時、人は一緒に居続けるようになると変わってしまうんだなぁ、と悲しい気持ちになりました。一方で、彼のことはやっぱり好きだったので、厳しい言葉にもきちんと耳を傾けて、なんとか彼の期待に応えられる女性でありたい、と考えていました。それでも、こんな生活が何か月も続くと、もう耐えられなくなってきました」(Aさん、以下「」内同)
もう逃げるしかない――彼女はそう決断したのだが、先立つものがない。安いホテルを転々としようかとも考えたがその余裕もないし、仕事を続けていくうえでは、東北の実家に帰るわけにもいかなかった。
となれば都内でアパートを借りる必要があるが、貯蓄はほぼゼロ。Aさんはそれでもこのままの生活を続けていくと“最悪の事態”もあり得ると考え、泣きながら知り合いの編集プロダクション社長に電話をした。この社長には、過去に仕事を斡旋してもらったことが何度かあった。