サイドメニューに注力する理由
また、寿司よりもラーメンやデザートといったサイドメニューのほうが、店にとって儲けを確保しやすい構図があるという。ある回転寿司チェーンの関係者が言う。
「ラーメン1杯で寿司4皿分の利益が出る。サイドメニューだけ食べに来るお客さんもいるが、大歓迎というのが本音。サイドメニューの原価は40%程度に設定されており、1枚につき5~10円程度の儲けの寿司より1杯390円のサイドメニューのラーメンを食べてもらったほうがありがたい。それで100円以上(寿司10枚分)の利益が出るからです。アルコールも同じ。ビールは原価が高いが、チューハイやハイボールは原価率が低く、寿司より儲かる。ただ、居酒屋状態で長居されるのは困る。回転寿司は(客の)回転が命。そのためアルコール類は高目の価格に設定されている」
均一料金ではなく、1皿150円や200円のネタも登場しているが、これについては「原価率50%前後に設定しており、店側は1皿で2~3倍の利益になる。高いネタのほうが利益は出る」(同前)といった考えに基づいて提供されているようだ。
「かつては代替魚を使うのが回転寿司の常識だったが、今は明らかな代替魚は使わない。もちろんエンガワがカラスガレイだとか、ズワイガニは高級な本ズワイではなく安価な紅ズワイだとかといったことはありますが、安く安定して仕入れられるものを出すことで、人気を維持してきた側面がある」(前出の食品商社関係者)
ファミリー層や庶民の味方として親しまれてきた回転寿司。店側は様々なかたちで工夫して原価を抑え、「安くて美味い」を維持してきたわけだが、迷惑行為の監視というコストが乗れば、それをそのまま維持するのは難しくなるのかもしれない。回転寿司を値上げせざるを得ない店側にとっても、安く食べたい消費者側にとっても、今回の騒動はマイナスに作用しそうだ。(了)