『笑点』(日本テレビ系)の視聴率がよいと景気が悪くなる、広島カープが強い年は名目GDP成長率が高い─。こうした一見、関係なさそうな事象がなぜ相関するのか。
それを解き明かしてくれるのが、「ジンクスの達人」として知られるエコノミストの宅森昭吉氏だ。
2016年の日本景気は先行き不透明な状況が続いていたが、ここに来てようやく景気回復に向けた明るい兆しが見え始めているという。
内閣府の「景気ウォッチャー調査研究会」委員など、主要な景気委員を務める宅森氏が、豊富なデータをもとに2017年酉年の日本の景気と株価を読み解く。
WBCの試合展開と日経平均の値動きが連動
政府や日銀がどんな政策を打ち出しても、現実の経済を動かしているのは市井の人々による日々の営みだ。国民のマインドは景気や株価に少なからぬ影響を与えており、数多くの景気の「ジンクス」が偶然とはいえない確率で景気動向や株価と一致している。
たとえば、人気の高いスポーツイベントが株価を動かしたケースは少なくない。2017年3月には4回目となるWBC(ワールドベースボールクラシック)が開催されるが、注目度が高い同イベントでは過去の大会でもこの傾向が顕著だ。
王貞治監督率いる王ジャパンが初代王者となった06年の第1回大会では、約3週間にわたる大会期間中に日経平均株価は832円上昇した。
さらに2連覇を果たした09年の第2回大会では1054円も上昇した上に、平日の日中に行なわれた韓国との決勝戦では日経平均が試合運びと連動している。中盤までの緊迫した展開では株価は横ばい、9回裏で同点に追いつかれると急落しその日の最安値をつけた。
ところが延長10回表で日本チームが優勢に転じるとそこから株価は200円以上上昇し、金メダル授与の瞬間にその日の高値をつけたのだ。