それは12年に始まった団塊世代の大量退職で生産年齢人口の割合が前年比で毎年1%以上減少する状態が続いており、プラスの影響を受ける人の絶対数が減っていたからだ。
この減少率は16年から小さくなり始めており、18年からは0.3%と小幅になる。今後はゆっくりではあるが、賃金や所得の改善がマクロ経済に反映されやすい環境になってくるだろう。
また、警察庁が発表している自殺者数を見ても、15年は18年ぶりに2万5000人を割ったが、16年の月次データを見るとすべての月で前年を下回っている。
自殺には病気や悩みなどさまざまな背景があるため極端に減ることはないが、景気が良くなれば生活苦や資金繰りといった経済的な理由による自殺は着実に減っていくものだ。
金融機関に押し入る店舗強盗の数も、16年は件数がゼロの月が9月までに3回あり、良いシグナルだ。ここ数年減少傾向が続いている東京23区のホームレスの数も、16年は引き続き順調に右肩下がりで推移している。
身近なデータにも景気の底堅さは現われている。NHKの朝の連続テレビ小説の期間平均視聴率をみると、16年3月に終了した『あさが来た』が23.5%、同9月に終了した『とと姉ちゃん』は22.8%と絶好調だった(いずれも関東地区)。