ただし、いったん農地にすると、再び宅地に戻すときには、農業委員会の許可や届け出の手続きが必要ですから、将来の利用計画も考え合わせる必要があります。
あなたの場合、家を取り壊したことで別の問題が生じています。地主が土地を第三者に売却した場合、借地権者は登記のある建物を所有していることで買主にも権利を主張(対抗)できます。しかし、あなたはすでに地上建物を取り壊しているので、借地権を買主に対抗できません。もっとも借地期限が残っているのに売却して権利を失わさせれば、地主の違約になりますが、借地権を失うことに変わりはありません。
これを防ぐためには、土地の見やすい場所に、取り壊した建物を特定する等の事項を記載した看板を設置すれば借地権を対抗できますが、2年以内に新たに建物を完成し登記することが必要です。
今後土地を使う予定がない場合、買い手がつく見込みがあれば借地権を売却することも検討できます。借地権の売買は、承諾料を支払うなどして地主の承諾を得れば可能です。地主が承諾しない場合、裁判所が地主の承諾に代わる許可をする制度があるのですが、あなたは建物がないので利用できません。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※女性セブン2023年2月23日号