体験しなければ「強み」と「弱み」はわからない
では「多くの人が賛成しない大切な真実」を見つけるためには、どうすれば良いでしょうか。Airbnbの創業者たちは、自分たちの部屋を実際に貸し出し、その体験の素晴らしさに気づきました。
何かアイデアを思いついたら、その良し悪しを検討・判断する前に、まずはそのアイデアが実現しようとしているユーザー体験の擬似体験をしてみることが大切でしょう。それによって、アイデア段階で想定していたものと全く異なる体験に遭遇することが多々あるはずです。思っていたより「良い」こともあれば、「悪い」ことものもあるでしょう。いずれにせよ、体験しなければそのアイデアの「強み」と「弱み」はわかりません。人間はアイデアを聞いただけですべてのユーザー体験をイメージできるほど優秀にできていないからです。
もし、あなたの会社における新規事業企画の採否が、その商品やサービスに触れたこともない経営陣によって事業計画だけを見て行われているとしたら、そのような意思決定プロセスは見直すべきかもしれません。本当のアイデアの価値はユーザー体験に潜んでいます。その「秘密」を解き明かそうとしなければ、本当に良いアイデアは「多くの人に賛成されない」ため、お蔵入りとなってしまうのです。結果として選ばれるのは「誰にでもわかる凡庸なアイデア」となり、いくらそれに磨きをかけたところで大成功は望めません。それはダイヤの原石ではないからなのです。
【プロフィール】
松本勝(まつもと・まさる)。1975年大阪府生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了後、ゴールドマン・サックス入社。株式トレーダー、金利デリバティブトレーダーを経て、2010年に人工知能を用いた投資ファンドを設立。2014年、VISITS Technologiesを設立し、人の創造性やアイデアの価値を定量化する合意形成アルゴリズム「CI(コンセンサス・インテリジェンス)技術」を独自開発して日米で特許を取得。ビジネスカンファレンスやアワードの受賞多数。著書に『破壊的イノベーションの起こし方』(東洋経済新報社)、近著に『デザイン思考2.0 人生と仕事を変える「発想術」』(小学館新書)。Twitter「@visits_tech」。
※松本勝・著『デザイン思考2.0 人生と仕事を変える「発想術」』をもとに再構成