投資

【日本株週間見通し】米物価指標をにらんだ神経質な展開か

 また、これまで米CPIの鈍化を支援してきた中古車価格が反発傾向を示していることも気掛かり。自動車オークションを展開する米マンハイムによれば、1月の米中古車平均価格は前月比で2.5%上昇したという。さらに、米レンタカー大手ハーツ・グローバルHDの最高経営責任者(CEO)は、中古車オークションと店頭販売の両方で過去5週間に価格が急上昇したと話している。米1月CPIが仮に予想並みにとどまったとしても、2月分以降への警戒感がくすぶり、株式市場が再び力強い上昇基調に戻れるとは限らないだろう。

 なお、16日には米1月卸売物価指数(PPI)も発表される。CPIより先行性が高いとされるPPIは総合で前月比+0.4%(12月:-0.5%)と加速に転じる見通し。食品・エネルギーを除いたコア指数でも同+0.3%(12月:同+0.1%)と加速する見込みだ。CPIを無難に消化した後も、PPIへの警戒感が株価の上値を抑える展開には留意しておきたい。

 米国では他にも重要な経済指標が発表予定だ。15日には1月の小売売上高と鉱工業生産が発表される。ともに12月分は前月比でマイナス、市場予想を下振れたことで昨年末にかけては景気後退懸念が強まる経緯があった。今回はどちらも前月比でプラスへの回帰が予想されているが、年始から過度な景気後退懸念は和らいでいたため、今回のプラス回帰が景気動向に関して投資家心理に与える影響は小さいと考えられる。一方で、むしろ、景気の底堅さが意識されれば、物価指標と合わせて利上げ長期化の思惑を強める可能性があろう。

 国内では主力企業の決算発表が14日で一巡する。決算を受けた個別株物色が少なくなるため、このタイミングで市場全体のエネルギーが乏しくなることもやや懸念要素と思われる。決算後に株価上昇が続いていた銘柄でもムードが変わり、利益確定売りが強まる展開などに注意したい。

 ほか、日銀新体制の人事については、政府が14日の衆院議院運営委員会の理事会で提示する方向と伝わっている。事前の観測報道を受けてからも為替の円安は思った程には進んでおらず、このまま雨宮氏に正式決定したとしても、円安を通じた日本株への後押しは想定しにくそうだ。米株主導の調整相場に連れ安する展開に注意したい。

 なお、今週は13日にリクルートHDやGMOPG、ライオンなどの決算、14日に10-12月期国内総生産(GDP)速報値、SMC、クボタ、東京海上などの決算、米1月CPI、15日に1月訪日外国人旅客数、米2月NY連銀製造業景気指数、米1月小売売上高、米1月鉱工業生産、16日に12月機械受注、1月貿易収支、米1月住宅着工件数、米2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、米1月PPI、などが予定されている。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。