住民トラブルの中でも解決が難しい騒音問題。なかには、小学校での子供たちの声に対するクレームが入るケースもある。こうした騒音トラブルはどのように解決すべきなのか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
長野市の公園で子供の遊ぶ声がうるさいと問題に。近所の小学校でも運動会の時期に、児童の声が大きいと学校側にクレームが入ります。結果、今年はスポーツセンターで開催するそう。ただ、運動会は校庭で行なうべきで、こういったクレームの対処法なども含め、竹下弁護士のご意見を聞かせてください。
【回答】
『環境基本法』に基づき、人の健康を保護し、生活環境保全の上で維持されることが望ましい音の基準として、環境省告示が地域類型を3つに分け、昼間(午前6時から午後10時)と、夜間の基準値を決めています。
例えば、もっぱら住居用の地域では、昼間は55デシベル(db)以下、夜間は45db以下といった具合です。その3類型の地域は、知事や市長が決定します。さらに、道路に面する地域は基準が緩くなります。この基準には法的拘束力はありませんが、騒音をめぐるトラブルの解決に当たって参考になります。
ただ、学校では子供の大声が継続することは考えられません。子供が出す音は、工場騒音のように一定しておらず、時間帯によって変わり、普段は勉強しているのですから、平均すれば基準以下の場合が大半だと思います。
しかし、正確な音量の計測や判定は、ジス規格に沿った方法で時間区分ごとに計測したり、統計的な手法で判定するなど、素人では難しいことです。