住まい・不動産

老母が「ここは私の家よ!」と激怒… 相続税対策「二世帯同居」で親子関係崩壊を防ぐために必要なルール

「二世帯同居」で円滑に過ごすために注意すべき点は?(イメージ)

「二世帯同居」で円滑に過ごすために注意すべき点は?(イメージ)

 相続にまつわる問題のなかで最大の悩みとなるのが「家」である。不動産は財産に占める割合が大きく、相続税額を押し上げる要因となりやすい。税額を圧縮しようとする際に有効な手段となり得るのが「親子の同居」だ。一級建築士でファイナンシャルプランナーの小林信之氏が語る。

「親と同居している子が家を相続する際に土地(330平米以内)の評価額が最大8割減額される『小規模宅地等の特例』が使える可能性があります。二世帯住宅の場合、現在の制度では親と子が区分所有登記をしていなければ、建物内で同居人が行き来できるかどうかに関係なく、特例を受けることができる」

同居で使える「小規模宅地等の特例」で相続税が安くなる(イラスト/河南好美)

同居で使える「小規模宅地等の特例」で相続税が安くなる(イラスト/河南好美)

 相続税を抑えられること以外にも、家事の負担減や介護のサポートなど、親子同居のメリットは大きい。

「ただし、生活スタイルの違いからトラブルに発展してしまうケースもあるので注意が必要です」(小林氏)

 埼玉県に住む自営業の50代男性は父の死後、独り身になった80歳の母と同居するため、実家近くのマンションを引き払い、妻子を連れて生まれ育った家に戻った。

「母の生活が心配だし、実家の相続も考えていたので、同居を始めました。はじめのうちは母が率先して家事をしてくれるのがありがたかったんですが、次第に子育てにまで口を出すようになり、妻と衝突する場面が増えたんです。

 見かねた私が『家族のことには口を出さないで』といさめると、母は『ここは私の家よ!』と激怒して、私たち夫婦との溝がますます深まるようになって……」

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