サクラさんの夫が、妻の仕事について厳しい要求をしてくるのには、ある理由があった。それは住宅ローンの返済問題だった。
「2年前に注文住宅を購入しました。ローンの返済は月15万円。育休が明けて私の収入が以前より下がるようなことがあると、家計は火の車になってしまうんです。当時はこだわりの家のために奮発しましたが、今となっては身の丈に合わない買い物をしてしまったと後悔しています」(同前)
現在も夫とは意見が衝突中だという。夫の言うとおりにリスキリングを意識したほうが家計にとっては良いのだろうが、育児の大変さを身をもって実感しているだけに、「それならもっと家のことを手伝ってほしい」と苛立ちを隠せない様子だった。
夫に内緒で「30万円のコーチング講座」受講
一方、育休中にリスキリングを試みるも報われなかったケースもある。4歳と1歳の子供を育児中の会社員・トモコさん(仮名、埼玉県在住の35歳)。次男の育休中にチャレンジしたリスキリングが、思わぬ方向に進んでしまったという。
「今のようにリスキリングが話題になる前から、スキルアップには興味関心がありました。私の仕事は事務職で給料も月20万円と高くなく、この状況から抜け出したい気持ちが強かったからです。とはいえ、何をしたら自分のスキルアップになるのかは分からず……。そこで出会ったのが『コーチング講座』でした」(トモコさん)
ビジネス系や自己啓発系のセミナー・書籍等で目にする機会のある「コーチング」。人材育成や個人のスキルアップ目的で用いられることもあるようだ。
「SNSで話題になっていたコーチングの先生に30万円を払い、講座を申し込みました。『必ずスキルアップができるように導きますから!』と言われ、楽しみにしていたのですが、実際は参加者同士の交流会が中心で、講座で先生が話す内容はどこかで聞いたことがあるようなものばかり。きちんと調べずに申し込んだ私にも落ち度がありますが、期待していた学びが得られず、とても残念な気持ちでいっぱいです」(同前)