電気料金の大幅な値上げが続いている。東京電力などの大手電力5社が4月からの電気料金を36円から269円値上げすると発表。託送料金の値上げが理由だという。さらに、関西電力と九州電力を除く大手電力7社は、今年4月以降、平均3割〜4.5割の値上げを経済産業省に申請、同省委員会で審査中だという。昨年来続く大幅な電気代の値上げは、暮らしにも大きな影響を及ぼしている。フリーライターの吉田みく氏が、一般家庭のリアルな節電事情をレポートする。
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このところの電気代の高騰ぶりはSNSでも大きな話題になっている。寒い日が続くことによるエアコン・電気ストーブの使用や、コロナ禍以降に増えた自宅でのリモートワークなど、家庭の電気代が上がる要因は様々ある。SNS上には「先月と比べて1万円近く値上がりした!」との悲鳴に似た声も多く投稿されている。
埼玉県在住の幼稚園教諭で育休中のトモコさん(仮名、32歳)は、こう頭を悩ませていた。
「昨年出産し、現在育休中です。子供が小さく一日中家で過ごす日が多いため、先月の電気代は5万円を超えました。今は仕方がないとは分かっていますが、これでは育休手当ての半分が電気代で消えてしまいます……」
トモコさんの育児休業給付金(育休手当)は月に約10万円。出産前は、子供の将来の為にもできるだけ貯蓄に回すつもりだったが、現実は難しく、頭を悩ませているという。育児疲れや家計のことを考えるとイライラすることが多く、時には夫にあたってしまうことも増えたそうだ。
「このままでは家族がダメになってしまう……、そんなことで悩んでいた時に出会ったのが近所にある児童館でした。ここに行けば、子供も遊べるし、自宅にいる時間が少なくなるので節電になると思ったんです」(トモコさん)
午前中は児童館へ行くことを習慣にしたトモコさん。同じように育児をするママ友ができたことで気分転換にもなっているという。「今月の電気代は抑えられたのではないでしょうか。明細書が楽しみです」と嬉しそうだったが、はたしてどうなるか。