大規模な増配や自社株買いをする企業の狙い
この計画が見えてきたところで、上場企業の中で大規模な増配や自社株買いをする動きがありました。例えば、シチズン時計(7762)は、2月13日に発行済み株式総数の約25%の自社株買いを発表しました。
自社株買いは、株主還元策の一つとして知られています。通常1~3%の範囲で行う企業が多く、3%を超えると株価の上昇要因となることが多いと言われています。この25%という数字にサプライズがあったのか、発表翌日の株価はストップ高となり、それ以降も上昇が継続しています。いかに25%の自社株買いにインパクトがあったかがわかると思います。
自社株買いや増配は、直接的にPBRやROEを改善させる効果があり、株価が上昇すれば、間接的にもPBRが改善します。
シチズン時計の場合、2月27日現在で、すでにPBR1倍まで上昇しており、今回の改善要請を睨んでの先回りの還元策だったのではないかとも言われています。
今後も低PBR銘柄優位の流れは続くのか
ここまでみてきたように、米国で金利が上昇することでバリュー株が優位になっているグローバルなマクロ環境と、日本の独自要因としての東証フォローアップ会議への思惑が重なり、「低PBR銘柄」への注目度が一気に高まりました。
米国のインフレや金利の状況はまだ先が見えず、すぐに金利が低下するような環境ではないように思います。
また東京証券取引所からの要請については、これから会議で正式決定され、実際に要請が出てくることを考えれば、2023年前半は「低PBR銘柄」への注目はかなり高い状態が続くと思われます。
ただし、「低PBR銘柄」であれば何でも上がる、というわけではありませんので注意してください。