投資情報会社・フィスコが、株式市場の2月27日~3月3日の動きを振り返りつつ、3月6日~3月10日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で473.99円高(+1.73%)と3週ぶりに反発。週足のローソク足は 4週ぶりに陽線を形成した。
先週の日経平均は週後半まで前週までの27500円を意識したもみ合いが続いたが、週末に大きく上放れた。週初は前の週末に発表された米1月個人消費支出(PCE)コアデフレーターが市場予想を上回ったことによる米金融引き締め懸念が重しとなった一方、為替の円安進行が支えとなり、底堅く推移。欧州の物価指標上振れでインフレ懸念が強まる中、その後は膠着感の強い展開が続いたが、週半ばには中国2月製造業購買担当者景気指数(PMI)の上振れを好感する動きが全体を支えた。
週後半、米供給管理協会(ISM)による2月製造業景況指数の支払い価格の上昇などを背景に、米10年債利回りが昨年11月以来となる4%に乗せ、ハイテクの重しになった。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)高官の今夏の利上げ停止を示唆する発言や中国景気の回復期待で投資家心理が改善し、週末は大きく上昇した。
今週の東京株式市場は神経質な展開か。先週末の日経平均は久々に大幅に上昇、根強い戻り待ちの売りから長らく明確に超えることができなかった27500円水準を大きく上放れ、2月6日高値27821.22円を超えてきた。27500円を挟んだ長いもみ合いを経た後の上放れとあって強気トレンドへの転換が期待される展開となっている。一方、今週末に3月限先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)を控える中、9日からは黒田東彦日本銀行総裁にとって最後となる金融政策決定会合が開催されるほか、米国の金融政策動向を占うイベントも週半ば以降に多いため、波乱含みの展開が予想される。日経平均の28000円超えと定着はハードルが高いとみておきたい。
市場関係者の間では今回の日銀金融政策決定会合で現状維持を予想する向きが大半だ。一方、市場機能が改善していないことなどを理由に、一部では10年国債金利の変動幅を1%まで拡大させることは急務であり、次期総裁の植田和男氏による政策運営により自由度を与えておく状況を創出することを目的に、3月会合でのサプライズ修正を指摘する向きもいる。他方、米国の雇用、物価に関する指標の上振れが続いており、米利上げ長期化懸念の高まりから、ドル高・円安圧力がじわりと広がっている。今週末に米2月雇用統計を控えていることもあり、週末まで為替は膠着感を強める可能性が予想される。市場コンセンサス通り、日銀の金融政策決定会合で現状維持が決定されれば、週末の昼頃からは円安・ドル高が進み、後場は輸出企業を中心に株価の強含む展開なども予想される。