病気やけがは、予期せぬタイミングで身に降りかかってくる。病気になると医療費や雑費などの支出がある一方で、収入が減少するリスクがあることも忘れてはならない。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんはこう話す。
「病気療養中は、医療費などによる一時的な支出より、長引く収入減の方が家計に大きなダメージを与えやすいんです」
入院中や病気療養中、働けなくなれば当然、本来あったはずの収入はなくなる。生命保険文化センターによる「2022年度生活保障に関する調査」では、入院した際、病院に払う費用は1回あたり約20万円、減る収入額は平均約30万円で、合わせると家計のマイナスは50万円にもなる。
収入減を補える会社の制度や公的制度は把握しておきたい。
「入院後すぐに職場に復帰できるなら、年次有給休暇が使えます。長期にわたり療養が必要になった場合、加入先の健康保険組合に『傷病手当金』を申請することで、減収分を補填できます。受給額は、1日につき平均給与額の3分の2。毎月の給与が30万円であれば、1か月休んで無収入の場合でも、約20万円が受け取れます」(黒田さん)
傷病手当金は雇用保険に入っていればパートやアルバイトも対象になる。そのほか、介護が必要になれば介護保険、障害が残ったら障害年金など、退院後に使える制度は多い。社会保険労務士の井戸美枝さんはこう話す。
「介護が必要となり、介護保険に申請したのに認定されなかった場合でも、自治体によっては、自立支援サービスなど独自の制度があります。私の夫はこのサービスを使い、週1回45分、約2000円で、浴室掃除から食材の買い出しまでお願いしていました」
自治体独自の制度は、元気なうちに調べておこう。
取材・文/桜田容子
※女性セブン2023年3月30日・4月6日号