一定の年収を超えると手取りが減少する、いわゆる「年収の壁」問題。岸田文雄・首相は「異次元の少子化対策」の一環として、この年収の壁の解消を挙げている。実現すれば、どのような効果があるのか。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの川部紀子さんが解説する。
「106万円/130万円の壁」の改正・撤廃は必至
3月17日、岸田首相は「こども・子育て政策について」の会見を行いました。その中で、少子化対策として「若い世代の所得を増やすこと」を一つに挙げ、年収の壁について言及をしています。
会社員等である配偶者の扶養の範囲でパートやアルバイトをする場合、年収の壁は、「約100万円」「103万円」「106万円/130万円」「150万円」などがあり、それぞれの「壁」を超えることで税金や社会保険の負担が増えていきます。
岸田首相は「いわゆる106万円、130万円の壁によって、働く時間を伸ばすことをためらい、結果として世帯の所得が増えていない」という趣旨のことを述べています。
「106万円/130万円の壁」は勤め先の規模などによって壁となる年収が変わり、壁を超えると自分の社会保険料負担が発生するようになります。「106万円/130万円の壁」については、ここのところ言及されることが増えており、今回の首相の発言を見ても、改正・撤廃は必至と予想されます。