日本の文化に深く根ざし、多くの国民に親しまれる大相撲。日本相撲協会に所属する力士は630人ほどで、そのうち十両以上の関取衆は70人だ。相撲の世界は完全なピラミッド型だが、関取衆とそれ以下の力士たちではどのような格差があるのか。あらゆる仕事・業界の“マネー格差”について徹底調査した話題の新刊『マネー格差の天国と地獄』(ニューノーマル研究会・編)から、相撲界の格差の実態をレポートする。
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日本相撲協会が運営する大相撲の収入のベースは協会が支払う形の給料制だ。平成31年の初場所から18年ぶりに見直され、現在は横綱の給与が月額300万円、年額では3600万円だ。同じく大関は月額250万円、年額では3000万円。関脇、小結が月額180万円、前頭が140万円で十両が月額110万円となる。ボーナスはない。
ここまでが関取と呼ばれる力士だ。年俸数億のプロ野球選手と比べれば見劣りするように感じるかもしれないが、力士の収入は給料だけではない。各場所で優勝すれば1000万円が支給される。白鵬関は横綱在任中だけでも42回優勝しているので優勝賞金の合計は4億2000万円だ。
本場所で活躍した力士には殊勲賞・敢闘賞・技能賞などが用意されている。こうした賞に選ばれると、それぞれ200万円が支給される。このプラスアルファも大きい。
さらに取組ごとの懸賞金も見逃せない。
以前は1本6万2000円だった懸賞金は、令和元年の秋場所から1本7万円に増額された。このうち日本相撲協会が手数料として1万円を徴収。残りが力士側に入るのだが、所得税の支払いのため3万円が預り金となり、土俵で力士が受け取るのは3万円だ。ちなみに令和4年の名古屋場所で懸賞金トップは照ノ富士の273本。6を掛けると1638万円だ。この半分が場所中に現金で手渡される。
人気と実力があれば、力士の年収は億を超えると言われる。