投資情報会社・フィスコが、株式市場の5月8日~5月12日の動きを振り返りつつ、5月15日~5月19日の相場見通しを解説する。
* * *
先週の日経平均は1420.05円高(+4.83%)の30808.35円で終え、6週続伸。週末まで7日続伸し、負けなしの週となった。1-3月期決算の発表は週初で一巡したが、その後も東証プライム市場の主力株を中心に日本株の上昇の勢いは止まらず、日経平均は週半ばには3万円を回復、週末にはバブル崩壊後の最高値を更新した。東京証券取引所による株価純資産倍率(PBR)1倍割れ改善要請や米著名投資家の日本株への追加投資表明、日銀の金融緩和継続などを背景に、海外投資家が消去法的に日本株の資産配分比率を増やす動きが続いたもよう。また、地方選での日本維新の会の躍進による政治改革期待や先進国首脳会議G7広島サミットに伴う日本への関心なども、日本株投資ムードを高める上では追い風になったとの声も聞かれた。
岸田文雄首相が米台韓の半導体大手と面会し、日本への投資を要請したことに加え、米マイクロン・テクノロジーが日本政府から2000億円の支援を受けて広島工場で次世代DRAMを量産する方針などと伝わった。半導体を巡るポジティブな報道が相次ぐなか、半導体を中心としたハイテク株が指数をけん引した。また、週末には対ドルで前週末比3円以上も円安が進行するなど為替の追い風も吹き、輸送用機器なども買われた。
今週の東京株式市場は上昇一服か。日経平均は先週末まで7日続伸し、一気にバブル崩壊後の最高値を更新した。5月限オプション取引特別清算指数(SQ)算出を通過したほか、決算発表も一巡し、手掛かり材料難のなかで躍進劇であり、これには舌を巻かざるを得ない。背景としては東証によるPBR改善要請や米著名投資家バフェット氏の追加投資表明、新日銀体制下での追加緩和継続などがある。足元の日本株の世界株に対するアウトパフォームは鮮明で、日本株の持たざるリスクを意識せざるを得ないとの指摘もある。
しかし、さすがに上昇ペースはスピード違反といっても過言ではなく、バブル崩壊後の最高値更新によりさすがに目先の達成感も意識される頃合いだ。米連邦政府の債務上限問題を巡る交渉が合意に近いとの期待なども高まっているが、こればかりは最後まで見届けない限り予断を許さない問題であり、梯子を外される形にも注意を払う必要がある。逆にこの問題がこのまま解決に向かったとしても、その場合はすでに好材料織り込み済みの可能性もあろう。