投資情報会社・フィスコが、株式市場の5月29日~6月2日の動きを振り返りつつ、6月5日~6月9日の相場見通しを解説する。
* * *
先週の日経平均は607.91円高の31524.22円で終え、8週続伸。一時調整する場面もあったが、週を通して全般堅調だった。週前半は米債務上限交渉の進展や為替の円安を好感して買いが続き、週初に日経平均はザラ場高値で31560円まで上伸した。一方、週半ばには一時大きく下落。米債務上限問題の合意案を盛り込んだ財政責任法案の議会採決を前に警戒感が強まったほか、ドル円の140円割れや中国経済指標の悪化、月末のリバランス(資産配分の再調整)に伴う売りなどが重しとなった。ただ、週後半は持ち直した。米財政責任法案が、難航が予想された下院で可決されたことで米債務不履行(デフォルト)リスクが後退したほか、月末リバランス売りの一巡であく抜け感が台頭したことが支援材料になった。
今週の東京株式市場は強含みか。懸案だった米債務上限問題を巡る先行き不透明感は解消された。また、米連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言を受け、6月13-14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ一時停止の確率も高まりつつある。外部環境の不透明感が後退するなか、海外投資家による日本の企業や経済に対する変革期待の高まりを背景に堅調な推移を続けている日本株は、週末の株価指数先物・オプション6月限の特別清算指数算出(メジャーSQ)を前に、短期的には売り方の買い戻しを巻き込みながら上値を試す展開が予想される。
一方、米国での景気指標の下振れや賃金指標の鈍化を背景に1ドル=140円突破後の達成感が強まりつつある為替の動向については注意が必要だ。米5月雇用統計の結果で賃金インフレの鈍化が確認されれば、6月利上げ停止観測の一段の高まりに伴いさらに円高・ドル安が進む可能性がある。その場合、これまで日本株高は円安とともに進んできた背景もあるため、日本株の上値抑制要因となりかねない。
需給面でも追い風はやや弱くなってきている。日本取引所グループ(JPX)が発表する投資部門別売買動向によると、5月第4週(5月22-26日)、海外投資家は現物で4096億円と買い越しを続けたが、前週の買い越し幅(7167億円)からは減少した。また、日経225先物は1587億円の買い越し(前週2641億円)、TOPIX先物は256億円の買い越し(前週3626億円)とこちらも勢いが鈍った。さらに、5月26日時点の裁定残高はネットベースで1兆838.94億円の買い越しで、既に2021年以降のレンジ上限近くまで増加してきているため、今後は裁定売り(現物売り・先物買い)の圧力が上値を抑制しやすい。