バブル期以来の高値に──いま、株式市場が大いに盛り上がっている。6月に入って、日経平均株価は33年ぶりの最高値である3万2000円台に到達するなど、上昇基調で推移が続いている。これを受けて「株価が急激に上がっているいま、株式投資を始めたい」と、大手ネット証券を中心に証券口座の新規開設数が急増。空前の投資ブームが到来しようとしているのだ。
バブルとは違う“裏付け”のある株価上昇
都内に住むパートのAさん(50代)が言う。
「生活用品や食べ物の値段はどんどん上がるのに給料は上がらず、景気のよさなんてまったく実感していません。株を買って儲けられるならやってみたいけど、本当に得するんでしょうか……」
この言葉通り、異様なまでの物価高に円安と、生活者からすると不景気極まりないように思えるいま、なぜこれほど急激に株価が上がっているのか。
証券会社出身のファイナンシャルプランナー・松岡賢治さんは「企業の業績に限って言えば、ここ数年の日本は“絶好調”が続いている」と語る。
「現在上場している日本企業の純利益の総額は、2年連続で過去最高になっています。株価は基本的に企業の業績に比例するので、高値を更新するのは自然なことなのです。ほとんどの日本企業は海外との取引で利益を出しているため『円安』がプラスに働いているのです。企業が保有している土地などの資産価値に株価が引き上げられていたバブルの頃とは違い、いまは業績という“裏付け”のある上がり方をしています」
もちろん、正確な株価の上下を予測することは難しい。だが松岡さんによれば、この傾向が続けば、今後も株価は上がり続ける可能性が高い。
「“投資の神様”ウォーレン・バフェット氏をはじめ、多くの著名な海外投資家が日本株の見直し買いを始めるなど、世界の投資家から見て“日本の価値”が高まってきているのも事実です。来年、再来年までの中長期で見ても、株価は上がり続けるのではないかと考えられます」(松岡さん)
もし今後も株価が上がり続けるのであれば、少しでも早く投資を始めたほうが有利だろう。ただ銀行にお金を預けていても、この超低金利では増えないどころか、物価が上がるにつれてその価値は目減りしていく一方なのだから。