かつて“橋下総務大臣説”が取り沙汰されたこともあった（橋下徹氏と岩田明子氏）
次期衆院選に向けて自民党が一番脅威に感じているのが日本維新の会だろう。果たして維新は岸田政権をどこまで追い込むことができるのか。維新の創設者である橋下徹氏に、安倍政権時代から自民党と維新の関係性を取材してきた元NHK解説委員でジャーナリストの岩田明子氏が迫った。【全3回の第3回。第1回から読む】
橋下総務相ならNHK民放化
岩田：自民と公明が選挙区調整で溝が深まっていますが、そうしたなか、5月末に吉村（洋文）知事が官邸や自民党本部を訪問しました。大阪万博への協力依頼という名目でしたが、「自民はいよいよ公明と距離を置き、維新との連立も視野に入れ始めた」という憶測が飛び交いました。自民との連立についてはどう見ていますか。
橋下：もし自民と維新の連立政権ができれば、今まで公明党にブレーキをかけられていた政策が、維新によってアクセルが踏まれ、今までの日本の政治とは異なる景色が見えるようになるかもしれません。
ただ、連立となると、基本的には、自民党案に全部賛成しなければならなくなります。自民に飲み込まれてしまう。だから、僕は政権の外にいて、個々の政策について是々非々で賛成・反対の立場を示したほうがいいと思う。過半数割れさせれば、外にいても影響力を行使できますから。
岩田：なるほど。ですが、政権に入って維新から閣僚を出し、維新の政策を実現して、存在感を示すという方法もありますよね。
橋下：そういう考え方もあります。
岩田：かつて“橋下総務大臣説”が取り沙汰されたこともありましたね（笑）。私は当時、NHK職員でしたが。
橋下：僕が総務大臣になったら、NHKは即、民放化ですよ（笑）。政見放送や災害情報などは公共放送で残して、ドラマやバラエティなどエンターテインメント関連は全部、民営化。いやいや、冗談で言っているだけで、僕が総務相なんて絶対ないですから。
岩田：しばらく充電したら、政界にカムバックするのでは、という見立てもよく聞きますよ。
橋下：『FLASH』のインタビュー（6月6日発売号）で馬場（伸幸・代表）さんが語っていますが、僕は今、真剣で斬り合う場所から退いて、竹刀や木刀を振り回しているだけですからね。その生活に慣れると、真剣の場所には戻れないですよ。
岩田：一度真剣の場から離れると、そういう気持ちになるものですか。
橋下：政治の世界の権力闘争というのは本当に恐ろしく、どこで足をすくわれるかわからなくて、命までは奪われないまでも、社会的に抹殺されたりしますからね。
