住まい・不動産

「改正空き家対策特別措置法」が成立 「実家の処分」をグズグズしていると毎年20万円以上の税金を取られる

「相続した実家」を放置していると税負担が増えることになりかねない

「相続した実家」を放置していると税負担が増えることになりかねない

 6月7日の参院本会議で「改正空き家対策特別措置法」が可決・成立した(同14日の公布から半年以内に施行)。これにより「相続した実家」の取り扱いの常識が大きく変わることになる。新制度の内容や影響、正しい対策まで、専門家が疑問に答えていく──。

Q.新しい法律で何が変わった?

 改正前の「空き家対策特別措置法」は2015年に施行された。放置すると倒壊の恐れがある物件などを自治体が「特定空き家」に指定し、修繕するように助言・指導、勧告などが行なえるという法律だった。相続に詳しい税理士法人レディング代表の木下勇人氏が言う。

「『特定空き家』の所有者が勧告を受けたまま翌年1月1日を迎えると、住宅用地特例による固定資産税・都市計画税(以下、固定資産税等)減額が解除され、税額が6倍になるペナルティが設定されました。ところが、『特定空き家』の認定の要件が厳しく、最終手段として市区町村に代執行(取り壊し)の権限まで持たせたのに、空き家は増え続けた。

 そこで改正法では“放置すれば『特定空き家』になる恐れがある物件”を新たに『管理不全空き家』に認定できるようになった。自治体は『管理不全空き家』の所有者へ指導が可能になり、状況の改善がなければ固定資産税等の軽減措置が解除されます」

 全国で空き家が増え続けるなか、「税負担増」のプレッシャーを強めようという新制度なのだ。

Q.どういう建物が「管理不全空き家」になる?

「管理不全空き家」となるのは全国で約50万戸にのぼる見込みとされる。

「“放置すれば『特定空き家』になる恐れがある物件”ということですから、数年間誰も住んでいなくて窓ガラスが割れていたり、庭が雑草だらけのケースが想定されます。

 自治体担当者の確認や近所の苦情で挙がった物件から、市区町村長が指定した空き家等管理活用支援法人が認定していく。具体的な認定基準は定かではないが、行政の権限が強まったのはたしかで、多くの空き家が対象になるでしょう」(木下氏)

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