買い物をするたびに貯まる「ポイント」。店舗独自のポイントの場合、一定数を貯めるとお店側が指定した“景品”や“サービス”と交換できることが多い。もしも、その”景品”や“サービス“が気に入らなかった場合、別のものと交換してもらうことは可能なのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
通っている美容室では、行くたびに会員カードにスタンプを押してくれ、全部たまると景品がもらえます。先日、スタンプがたまったときにシャンプーを渡されたのですが、私は気に入っているシャンプーがあるため断りました。「代わりに別のものをいただくか、割引をしてもらえませんか?」と聞きましたが、店は「それはできません」と言います。
せっかくスタンプがたまったのに損をした気分です。シャンプーと同額程度のそのほかのサービスに変えてもらうことはできないのでしょうか。(東京都・68才・主婦)
【回答】
ポイントカード(以下「カード」)は、もともとは事業者が商品やサービスを購入した顧客に特典を与えることで販売促進を図るとともに、顧客の囲い込みを狙って始まったものです。いまではポイント交換等によって、連携するほかの事業者でも使用できるなどしてカード自体の利用価値を高め、顧客獲得の有力な方法になっているだけでなく、カードを通じて得ることができる顧客情報が販売戦略上の強力な武器として利用されるようになっています。
このような多彩な機能を持つカードもあれば、カードを発行するお店だけで使用できる昔ながらのものもあり、さまざまです。
カードで何ができるか、その内容は基本的に顧客とカード発行事業者の間の契約によって決まります。契約といっても事業者と客との間で、細かい契約書が作られることはあまりなく、客に一律に適用させるために事業者が定めた約款や会員規則にしたがった内容になります。
小さな店では約款などまで作っていないかもしれませんが、カードに要項が書いてあると思います。私の手元にあるハイキング帰りに利用する立ち寄り湯のカードには、「10回利用すれば次の1回は無料になり、50回ごとに素敵なプレゼントを贈呈する」と書いてあります。