この1か月あまり、ニュースでは何度も「日経平均のバブル後最高値更新」の見出しが躍った。当然ながら次はバブル超えとなる「日経平均4万円」の期待も高まるが、物価高で実質賃金はマイナスのまま。肌で好景気を感じた「昭和・平成バブル」と「令和バブル」は何が違うのか。
昭和・平成のバブルが弾け、その後2000年代に入ると、米同時多発テロ(2001年)やイラク戦争(2003年)、リーマン・ショック(2008年)など、世界の金融市場を揺るがす事件が発生する。
「実は、いま日本で起きている株式市場の高値相場は、2008年のリーマン・ショックに深く関連している」と経済アナリストの森永卓郎氏は言う。
「2008年、深刻な不況に直面した各国の中央銀行は、超低金利で大量のお金を供給して何とか景気を刺激しようとしました。日本でも、2012年末に発足した第2次安倍政権の下、黒田東彦・日銀総裁が異次元金融緩和を開始します。ところが、経済成長の起爆剤となるはずだった各国のお金は魅力的な投資先が見つけられずに、投機に向かった。それがいまのバブルを引き起こしたのです」
日経平均4万円でも「国民生活に変化なし」
そんな令和の株バブルは、30年前とは状況がまったく異なるという。
「地方まで波及効果があった当時のバブルと違い、いまのバブルは大都市と大企業に集中しています。株価の上昇も一部の大企業のみの現象。現在も多くの中小企業は経営が悪化しており、実質賃金も下がっています」(森永氏)
昭和から平成にかけて発生した前回のバブルでは鉄鋼、造船、非鉄金属、セメント、石油化学などの「重厚長大産業」が株価を牽引したが、半導体やITテクノロジーの普及に伴い、現在は生成AIに代表される人工知能関連株などハイテク株中心の株価上昇となっている。日本企業の時価総額ランキングも一変した。