日本人のほとんどは生命保険に入っている。生命保険文化センターによると、生命保険への加入率は男性77.6%、女性は81.5%(2022年)。生命保険は「生涯でマイホームの次に高い買い物」といわれ、1世帯が1年間に支払う保険料の平均は37.1万円である。30年間払い続ければ、軽く1000万円を超えてしまう計算だ。
病気やけがなどに備える医療保険も人気だが、実際には「なくても済む」ケースがほとんどだと「保険相談室」代表の後田亨さんは話す。後田さん自身、生命保険を解約した経験者で、いまも加入していないという。
「結婚した後の2006年に、三大疾病保険に加入したことがあります。死亡時に200万円、三大疾病で200万円、解約返戻金もあるタイプで掛け金は月々1万円程度でした。
損が少ないと思って入りましたが、いまにして思えばバカだった。高額療養費制度もありますし、がんになったからといって必ずしも200万円必要になるとは限らない。そもそも200万円なら貯金で賄えるので、いらないと思って2、3年で解約しました。保険料として支払っていた分を積み立てに回せたので、やめてよかったと思います」
千葉県在住のAさん(41才・仮名)も10年前、結婚を機に生命保険を解約した。
「夫が保険会社に不信感を持っていたのが大きな理由でした。義父は結婚前に亡くなっていましたが、そのときにトラブルがあったそうです。聞けば、義父が血圧の薬をのみ始めたことを保険販売員に伝えたとき、“これくらいなら会社に通知しなくても大丈夫”と言われたのに、いざ亡くなってみると“告知義務違反”で保険金を払ってもらえなかったと聞きました。
保険を解約するときはちょっと不安になりましたが、冷静に考えれば、ウチは共働きだし、お互いに万が一のことがあっても生活が困窮することはないですからね」