病気やけがなどに備える医療保険だが、家計のことを考えると、毎月の保険料支出を負担に感じる人は少なくない。だが、実際には、医療保険はなくても済むケースがほとんどだという指摘もある。
「保険相談室」代表の後田亨さんも解約経験者で、いまも加入していないという。
「結婚した後の2006年に、三大疾病保険に加入したことがあります。死亡時に200万円、三大疾病で200万円、解約返戻金もあるタイプで掛け金は月々1万円程度でした。
損が少ないと思って入りましたが、いまにして思えばバカだった。高額療養費制度もありますし、がんになったからといって必ずしも200万円必要になるとは限らない。そもそも200万円なら貯金で賄えるので、いらないと思って2、3年で解約しました。保険料として支払っていた分を積み立てに回せたので、やめてよかったと思います」
医療保険をやめて「スッキリした」と話す人もいる。福岡県在住のKさん(50才・仮名)はかつて月々1万円ほど保険料を払っていたが、加入5年目にふと「60万円も払ってきたのに、何もなかった」と思ったという。
「仮に1日1万円の入院費をもらえるとして、元を取るには60日も入院しないといけない。そう考えるとバカらしくなって……。解約してから10年経ちますが何事もないです。その間の保険料を貯蓄に回せてよかったです」
経済ジャーナリストの荻原博子さんは、会社勤めをしている人なら医療保険は必要ないと説明する。
「サラリーマンの場合、けがや病気で会社を休んでも、傷病手当があるので給料の3分の2はもらえます。しかも、いまはがんの手術でも1週間ぐらいで退院できるので、入院費用もそれほどかからない。貯金が多少あれば、保険がなくてもなんとかなります」
荻原さん自身も20年ほど前に医療保険を解約している。
「バブル期に定額付きの終身保険と医療保険に入りました。当時の終身保険は利率が高い『お宝保険』なので残してありますが、定額の部分と医療保険はやめました。医療は公的なものだけ受ければ充分なので、困ることはないですね」