健康保険証の紐付けミスなど問題が噴出しているマイナンバーカード。政府への怒りや不信を表明するため、カードを返納する人が増えている。では、実際に返納すると、何が起きるのか。経済ジャーナリストの荻原博子氏とともに、よくある不安についてQ&Aで解説していこう。
【Q:返納の申請は代理でもできる?】
「高齢の両親などの代理で手続きをする際には、代理人の本人確認書類のほか、戸籍謄本や登記事項証明書などその資格を証明する書類、そして委任状が必要。委任状はとくに指定された形式はありません。
2030年には認知症患者が800万人を超えるといわれているので、少々煩雑ですが覚えていて損はない」(荻原氏)
認知症と診断された人の場合は、成年後見人が返納の手続きをすることになる。
【Q:企業や学校など団体で一括申請した場合でも、個人的な返納は可能?】
自治体によっては職員が企業や団体などを訪問し、マイナカードの「一括申請」を行なっている。総務省の担当者は「個人での返納と手続きは変わらないので、市区町村の専用窓口で手続きを行なえます」と説明した。
【Q:マイナカードを紛失している場合は?】
返納手続きのために、わざわざカードを再発行する必要はない。
「まず個人番号カードコールセンターに連絡し、マイナカードを一時停止してください。その後、本人確認書類を持って市区町村の窓口に行き『個人番号カード返納届』に記入すれば返納となります」(総務省担当者)
【Q:付与された最大2万円分のマイナポイントはどうなる?】
「ポイントはPayPayなどの電子マネーに変換して付与されるため、返納しても残ります」(荻原氏)
マイナポイントを申請していない場合は、ポイントを申請してから返納するのが吉だ(期限は2023年9月末まで)。
【Q:マイナカードと紐付けした健康保険証はどうする?】
「マイナカードと健康保険証を紐付けたとしても、健康保険証はそのまま継続して使用できます。返納や再発行の必要はありません」(厚労省担当者)
来年秋以降には紙の健康保険証が廃止され、マイナカードだけになるが、「政府は保険証の代わりとなる資格確認書を国民に配布する予定。ただ、有効期限が最長1年なので期限が切れる前に更新手続きをする必要があります」(荻原氏)という。
【Q:マイナカードで本人確認して契約した各種サービスはどうなる?】
「利用停止になることはないでしょうが、そのサービスの運営に確認したほうがいい」(同前)
【Q:公金受取口座はそのまま使える?】
「マイナカードを返納しても、マイナンバーと公金受取口座が紐付いているので、継続して使えます。給付金もその口座に入金されます」(デジタル庁広報)
※週刊ポスト2023年7月21・28日号