物価上昇が子育て世帯を直撃している。浜銀総合研究所によると、2023年5月の「赤ちゃん物価指数」は前年同月比6.9%上昇し、同月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)プラス3.2%(前年同月比)の2倍以上となった。浜銀総研のエコノミストが独自に考案した「赤ちゃん物価指数」は、消費者物価指数に含まれる品目から、粉ミルク、乳児服、紙おむつ(乳児用)、人形、玩具自動車(おもちゃ)の数値を抽出、試算したもの。「赤ちゃん物価」の急激な上昇は、育児生活にどんな影響を及ぼしているのか。フリーライターの吉田みく氏が、30代の母親2人に話を聞いた。
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2歳3か月の長女を育児中のミカコさん(仮名、36歳。千葉県在住)は、紙おむつの消費スピードの速さと出費の多さに衝撃を受けているという。
「初めての育児で慣れていないのもあるかもしれませんが、今でも1日に10枚くらい交換しています。1袋1000円超で50枚くらい入っていますが、1週間もちません。昨年の春先に紙おむつが値上げされたとのニュースを目にしましたが、だからと言って使用量を減らせるわけではありません。専業主婦で収入は夫の稼ぎのみ、給料もほとんど上がっていないので、今後も値上げの可能性があるかもしれないと思うと、この先の生活が心配です……」(ミカコさん)
ミカコさんの話によると、おむつが蒸れて肌が荒れることを心配しており、夏になってからはこまめにおむつを替えているそうだ。30度を超える日も続いているため、紙おむつの買い出しも一苦労だと嘆いていた。
「夫に話すと、『ミカコは専業主婦で時間があるんだから、(紙おむつを使わなくて済むよう)トイレトレーニングを頑張ればいいじゃない。それで全て解決するでしょ』と言われてしまいました。私としても早くおむつを卒業してほしい気持ちはあり何度かトライしていますが、イヤイヤ期も重なり成功回数はゼロ。夫からは『紙おむつがそんなに高いとは思わなかった。負担が大きすぎる』『(おむつが卒業できないのは)子供に寄り添う気持ちが足りないからでは』などと小言を言われる始末。もう、どうしたらいいかわかりません……」(同前)
ミカコさんが育児に関する出費のことでモヤモヤしている要素は他にもある。それは、我が子に新品の洋服を買ってあげる余裕がないことだ。
「今は身体の成長が早く、すぐにサイズアウトするのは分かっているので、フリマアプリでまとめ売りされている洋服を買って着せています。オシャレな新品の洋服を買ってあげたいのが本音ですが、とてもじゃないけど我が家にそんな余裕はありません……」(同前)