給料の伸びが物価上昇に追いつかない現状は、サラリーマンの「ランチ事情」にも影を落としている。福利厚生の食事補助サービス「チケットレストラン」を運営するエデンレッドジャパンが5月に実施した「ビジネスパーソンのランチ実態調査2023」によると、「昨今の物価高や値上げにより、勤務日に使えるランチ代に変化はありましたか?」の問いに約4割が「減った」と回答。「ここ最近の勤務日のランチ代の平均」は400円だった(いずれも一般社員300人を対象)。前回調査(2022年9月実施)の平均436円に比べてダウンしており、「金額を理由に食べたいメニューを我慢したことがある」という人は約7割に達した。
「今日の昼は何を食べようか」と迷うのはもはや贅沢なのだろうか。物価高から家計を守るため、毎朝夫に手作りの弁当を持たせ始めたという30代の主婦に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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止まらない物価上昇は私たちの生活を大きく苦しめている。コンビニのおにぎりや弁当類は軒並み値上がり、安さが売りの外食チェーンもメニューの値上げが続いている。コンビニやスーパーでは、「ごはんとウインナーだけ」といった小ぶりで安いお弁当も人気だという。オフィス街にはキッチンカーが出ていることも多いが、都心では1食800円前後するところが増えている印象だ。ランチ代に使える金額が減っている会社員の実情からすると、食べたいものを食べるのではなく、金額で選ばざるを得ない人も多いのではないだろうか。
夫の昼食代節約のために弁当を作り始めたという都内在住の専業主婦・ユキさん(仮名、37歳)が、その経緯を語る。
「先日、夫から『お小遣いを上げてほしい』と要求されました。物価高の影響もありランチ代は1回500〜1000円近くかかかるようで、毎月2万円のお小遣いではかなり厳しいようです。私としてもアップしてあげたいのですが、我が家の家計では5000円を捻出するのも厳しくて……。そこで提案したのが、お弁当を持参することでした」(ユキさん、以下同)
ユキさんの提案を聞いた夫は「ユキが負担にならないならお願いしようかな」と言ったそうだ。お小遣いは2万円のまま、昼食は弁当持参で交渉が着地した。