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岸田首相「サラリーマン増税は考えてない」発言のまやかし サラリーマンどころか“全世帯増税”への道筋が着々と

岸田政権の「税金を取れるところから取る」という姿勢は鮮明(時事通信フォト)

岸田政権の「税金を取れるところから取る」という姿勢は鮮明(時事通信フォト)

 岸田内閣の支持率急落が止まらない。毎日新聞の最新の世論調査では、6月の調査から5ポイント下落してついに支持率は30%を切った。マイナンバーカードを巡るトラブルに加えて、岸田文雄首相が国民への負担増路線に舵を切ったように見えることも影響しているとされる。岸田首相は火消しに躍起となり、「サラリーマン増税は全く考えていない」などと発信しているが、相変わらず内実は誤魔化しだらけだとみられている。

「サラリーマン増税」に注目が集まったのは、6月30日に総理大臣の諮問機関である政府税制調査会が提出した中期答申がきっかけだった。

 たとえばサラリーマンの退職金課税について中期答申では〈現行の課税の仕組みは、勤続年数が長いほど厚く支給される退職金の支給形態を反映したものとなっていますが、近年は、支給形態や労働市場における様々な動向に応じて、税制上も対応を検討する必要が生じてきています〉と書かれている。現行制度の退職所得控除は、勤続20年超になると勤続年数に応じた増額幅が手厚くなる仕組みだが、答申の記述から勤続年数が長い人向けの手厚い控除が削られるのではないかといった懸念が浮上していた。

 また、答申のなかで個人所得課税について触れた部分では、〈非課税所得等〉という項目が設けられ、〈本来、所得は漏れなく、包括的に捉えられるべきであることを踏まえ、経済社会の構造変化の中で非課税等とされる意義が薄れてきていると見られるものがある場合には、そのあり方について検討を加えることが必要です〉と書かれている。

 わかりにくい記述だが、現状では非課税となっている所得を課税対象にしようという議論の流れが読み取れる。上の記述に続く非課税所得等の例として、会社員の通勤手当や雇用保険上の失業等給付があがっていたことから、政府がサラリーマン増税に向かうのではないかという指摘が出ていたわけだ。

 批判が高まると岸田首相は自民党税制調査会の宮沢洋一会長と7月25日に面会。その後、宮沢氏はわざわざ記者団に対して面会時の会話の内容を明かし、岸田首相が「サラリーマン増税うんぬんといった報道があるが、全く自分は考えていない」と述べたと説明した。また、岸田首相に対して宮沢氏は「党税調でそういう(サラリーマン増税の)議論をしたことは一度もないし、党税調会長の私の頭の隅っこにもない」と述べ、それに岸田首相が「よかった」と返したということも明かされた。

 ただ、岸田氏と宮沢氏はいとこという間柄。芝居がかった身内のやり取りを開陳されても、国民の疑念が払拭されることはないだろう。

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